はるはるとはじめのい〜っぽ

ダウン症がある息子と、シングルマザーである私の記録用日記

中学の時に書いた短編/ひらめの過去の作品

「白夢月夜」

少年は、亡き母を想いながら、若草色を照らす月夜の野原を
涙を流し、漂っておりました。

少年の目に、確かに白く輝くものが映りました。
そこから、少年に向かって走ってくるのです。
まるで天馬のような・・・。
白く輝く馬は、少年の少し前で止まると
今日の空の青い色よりも、少し甘い瞳で見つめておりました。

月は、いっそう白い光をはなちました。
それは、馬に反射しておりました。
そのたてがみは、それはそれはみごとな金色でした。
美しい滝の流れよりもより美しく流れておりました。

馬は少年に話しかけました。
「こんばんは」
聞き覚えのあるささやきでございました。
馬はなおも話つづけました。
「何故泣くの?何故涙を流すの?」

「僕、寂しいの。
 だけど、お馬さんをみたら・・・。
 僕、泣かないよ。
 お馬さんも悲しくなるから」

「そうよ。悲しくなるの。
 だから、ここへ来たのよ」

「お馬さん、お母さんみたいだ・・・」

「私が?」

「ええ」

「お母さん、亡くなったのでしょう」

「うん・・・」

「いいえ、お母さんは死んでいませんよ」

「え?」

「さあ、おいで」

馬は少年を背におくと子守唄を歌うように野原を走りました。

すると、ふんわりした気持ちになりました。
甘い心になりました。

少年は目を開けました。
少年は雲の上におりました。
馬も・・・

いいえ、馬はおりませんでした。
ただ、隣には
なつかしい、お母さんの姿がありました。
少年は、思いっきり甘えました。
2人とも思いっきり遊びました。

・・・雲の隙間から一筋の光がのぞきました。
すると、お母さんはもういなくて、
少年はまた、馬の背に乗っておりました。
もと来た道を帰っていきました。



ピピピと小鳥のさえずりとともに少年は目を覚ましました。

もう馬の姿もお母さんの姿もありませんでした。

しかし、少年はやっと気づきました。
自分の心の中にお母さんが微笑んでいることを・・・。

心が強く揺れていることを・・・。

おしまい

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私は、子供の頃から妄想や空想をするのが大好きでした。
それは、今も同じです。
恐らく人生の3分の2は、妄想の中で生きています。

の、割には、現在はこうした純粋な妄想から湧き出る
イメージやアイデアが出なくなってしまったのが
かなり残念で仕方ありません><