はるはるとはじめのい〜っぽ

ダウン症がある息子と、シングルマザーである私の記録用日記

「羨ましい」について1/ひらめの独り言

今回の記事も長文です。

私は、生真面目なところがあります。
もちろん、くだけた部分もありますが。


学生の頃から
「もっと気楽でいいんだよ!」
と言われてきました。
主人と出会ったときも
「もっとやっこく(柔らかく)なってよ」
と言われました。

元来、考え過ぎたり、気を使い過ぎたりするところがあります。
頑張り過ぎてしまうところもあります。
性格だけじゃなくて、体もかなり固くて、
マッサージや整体に行くと「かたいね~!」と驚かれます(苦笑)

20代前半に、ある心配し過ぎが原因で「一過性虚血症」を発症し、
それからはちょっと疲れたりストレスを感じると
この発作が出てくるようになってしまいました><
(脳の細い血管がつまってしまうことが原因で激しいめまいや吐き気をおこす)

はるはるを授かってから長い間悩んでいたことがありました。
それは「羨ましい」ということについてです。
はるはるが産まれたのは12月のはじめ。
1月には年賀状が届きます。
何人もお子さんがいらっしゃるのに、誰一人として「障がい」を抱えている
お子さんがいらっしゃらない・・・。
このことが当時の私の心に傷をつくりました。
強く「羨ましい」と感じました。

実は、このテーマで記事を書くにあたっては、長い間迷いがありました。
ブログやメールでは、大きな誤解を産んでしまう可能性もありますし
傷つけてしまうこともあるからです。
でも、もしかして、私の考え過ぎかも知れないということで
悶々と悩むのをやめて、書き込むことにトライします。

「羨ましい」という感情は、抑えようがありません。
過去に、自分のお子さんとママ友達のお子さんを比べて
自分の子供よりも相手のお子さんが優秀にみえたことで
相手のお子さんを殺害してしまった事件がありました。
「羨ましい」という感情は、時に「恨めしい」に変わってしまうことがあります。

はるはるが現在の病院に入院をしてから、
この「羨ましい」がついてまわるようになりました。
それは、私が相手に感じるのではなく、私がそう思われる方の立場になったことです。
病院内では、非常に気を遣いました。
はるはるよりも病状が重たいお子さんをもつ親御さんに対して、
なげかける言葉、表現方法、口に出すまでに頭の中で色々と取捨選択してから
口に出していました。
また、お子さんがお一人目の方の場合は、兄弟の話題は出さないようにしていました。
それはやはり、自分も「羨ましい」と強く感じた経験がありますし、
同じ障がいをもつ母親として、相手の方のお気持ちが
(全部とは言いませんが)痛い程わかるからです。
もちろん、私だけでなく、多くの方が同じ経験をされていると思いますが。

でも、「羨ましい」と言われることで、段々と辛くなってきました。
辛いは、やがて「傷」になりました。
どうしてだろうと自分なりに考えてみました。
そして、その理由がわかりました。
例えば、「退院」することに対して羨ましいと言われること。
はるはるの病状が軽くみられることに対して言われること。
その他のこと。
はるはるにも、私達家族にも過去には「闇」が存在しました。
それを乗り越えてきた経緯もあります。
相手はそれを知りません。
それを知っているのは、当事者だけです。
でも、「羨ましい」と言われることで、その過去にあった困難なできごとや
それらを乗り越えてきたことをすべて「否定」されてしまったような
気持ちになってしまったのです。

「羨ましく」思われたい方には、思い切り羨ましいと言いますが、
「羨ましい」と言われることが時に傷になることも今回のことで痛感しました。

これらのことで煮詰まっていた頃、外来に行った時、病院の1階でママ友達に会いました。
彼女は、「はるはる1歳までの記録」で紹介させていただいた
ゆうきくん(仮名)のママです。
ゆうきくん(仮名)の病状は重く、長い間入院生活を送っていらっしゃいます。

彼女は、以前開催された写真展(「ダウン症児をもつママ達の写真展」)
を観に行ってくれました。
そのときのことをこう言ってくれました。
「写真についている一人一人のメッセージを読んでいて涙が溢れてきました。
 いい写真展でしたよ。
 でも、読んでいて、皆さんはなんてお幸せなんだろうって思いました。
 上には上がいるんだよって言いたかったです」

この感想を聴いて、私の「羨ましい」ということに対する悩みを
聴いてもらうのは今だ!と思って、思い切って話をしました。

「ゆうきくん(仮名)は、病状が重たいでしょう。
 はるはるは、それとは比べ物にならないくらい軽い。
 それに、ゆうきくん(仮名)はずっと入院しているし。
 私といて、はるはるをみていて、羨ましいという気持ちでいると思うんだ。
 一緒にいると辛いと思います。
 私は、貴女が大好きだから、お友達でいたいけど、
 このままお友達でいてもいいでしょうか」

私の話を根気よく聴いてくださって、彼女は話始めました。
「私もゆうき(仮名)の入院生活が長くて、先にどんどんと退院されていくのを
 羨ましいと感じることがあるよ。
 でも、入院中も在宅でもやっていることは同じ。
 在宅ではママが一人でお世話をするから大変だなと思う。
 退院されたお子さん、が例えばハイハイができたと聴くと羨ましいと思うけど、
 ゆうき(仮名)は、ゆうき。相手のお子さんは相手のお子さん。
 ゆうきはにはできないことがたくさんあるけど、ゆうきなりに成長してくれている。
 それに、現在、はるはるの体調が安定しているのも退院できたのも
 はるはるママが一生懸命はるはるの体調を管理しているからでしょう?!
 入院中、はるはるもママも乗り越えてきたことがたくさんあると思うんだ」

これを聴いた瞬間、涙がとめどなく溢れてきました。
ゆうきくん(仮名)のママは、知ってくれていた!
表面だけではなく、中身をみてくれていた!
ゆうきくん(仮名)の病状はとても重く、心がつぶされそうになる毎日を
過ごしていらっしゃるのに、一日たりとも欠かさず面会にいらっしゃって
すべての時間をゆうきくん(仮名)に捧げていて・・・。
自分の苦悩を脇に置いて、私を思いやってくれた!

私もゆうきくん(仮名)のママも
病院のロビーの廊下のど真ん中で一目もはばからずに
おいおいと泣いてしまいました。
そこを通る親子が「何事か?!」と私達を振り返ってみていました。

はるはるが入院中(昨年の初夏)、彼女がこのようなことを言っていました。
「先輩ママが言っていたんだけど、
 子供の障がいの重たい軽いは関係なく、
 相手のことを思いやって、同じように接することができるようになるまでは
 人間的にまだまだだよって。
 私もそう思えるように努力しているんだけど、まだまだだな~」

彼女も苦悩して、苦悩して、ここまでの境地に達したのでしょう。


この日を境に、私の中で何かが変わりました。
まだまだ、完全ではありませんが「だから、何さ!はるはるは、はるはる!」
それに、今苦悩しているのは、はるはるや相手のお子さんではなく、
私達、親なんだということ(はるはるやお友達もまだ赤ちゃんなので)。
はるはるは、はるはるのペースで成長して、家族で乗り越えてきていることも
あるということ。
それに自信をもって前を向いて進んでいけばいいということ。


ある晩、主人が言いました。
「はるはると同じ頃に産まれた友達の子供を見ていて、健常な
 1歳8ヶ月ってこういうふうなんだな~、ってびっくりしたよ。
 はるはるとは全然違う生き物みたいだった。
 その友達に言われたんだ。
 『おまえには、正直いって(うちの)子供の話ができないよ』って。
 おれは、別に気にしてねーけどな」

皆、気を遣っている。
聴くに聴けない、言うに言えないけど。
時には、本音を言うことも、聴くことも必要なんですね。